2006年09月18日

映画を撮る映画。〜「ワンダフルライフ」〜

う〜ん、すごく淡々としてるんですが
見終わってからじわじわ来る・・・作品でした。

ワンダフルライフ
ワンダフルライフ是枝裕和 ARATA 小田エリカ

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前から見よう見ようと思っててなかなか見れなかった1本。
・・って、これ「誰も知らない」の是枝監督の作品だったとは。

今から8年も前の作品で伊勢谷友介さんとか阿部サダヲさんとか
ええ〜っってひとが混じっててびっくり。
主演のARATAさんは「ピンポン」のイメージでもって
ボソボソとしゃべるんだけど、なんかあったかい。

あ、でもメガネ、メガネ・・・。ないとさみしい?(笑)


天国へ行く前にひとつだけ持っていける思い出を選ぶとしたら
あなたは何を思い出しますか?
もしくは選ばないという結論を出したひともいるんですが
あなたならどうしますか?

これ以上忘れられたくない、誰のことも忘れたくないという少女、
娘が20歳になるまではここにとどまっていたいという父親、
そして誰の記憶に残ることもできなかった人生だといって
最高の思い出を選ぶことができずにここに残ってしまった青年。
死者を送り出す側の人間(いやゴーストか)にもそれぞれ事情がある。

映画からは少し離れるんですが、
誰でも、自分の人生のなかでは自分が主人公なんだけど
幸せな時間ばかりをすごせるわけではなくて、
これだけは天国にもって行きたい、絶対忘れたくないと言える何かを
残せるかどうかもわからない。
死ぬために生きるという言い方は変だけれど、
絶対自分が忘れたくない何かを
その瞬間にちゃんと思い出せるような人生を送りたいと思った。
死ぬまでにそんなたいしたことできるとは思えないけど、
誰かの思い出フィルムのなかに残れるような自分になれたら
それもまた幸せなことだなと思った次第で・・・。

時として、一番つらい別れの瞬間でも
その人にとって忘れたくないひとならその瞬間を選ぶひともいて。
痛みしかない記憶でも鮮明なものがあれば、
それは自分が生きた証のような気がして。
そういうこと乗り越えて少しは強くも優しくもなって
年を重ねていくものだと思うから・・・。

おじいちゃん、おばあちゃんの家を回って
介護をするんじゃなく、ただ、
「話を聞いてあげる、話相手になってあげる」
というボランティアがあるのだそうです。
天国へ行くまでの1週間、自分が主人公で自分が監督になって
ひとつの思い出を撮影したビデオを作り、
それを見て旅立っていくという映画で、
ARATAたち扮する施設の役員たちは
一人一人に向かって根気よく、思い出の再現ビデオをつくるための
インタビューをしていくんですが、
そういう作業そのものが「魂の救い」なんじゃないかなと
思いながら見てました。
友達とか恋人とか以外でそんなに自分の話なんて
聞いてくれるひといないですからね。
家族でさえ、年寄りの繰言となると
うとましく思ったりする事もあるわけで。
誰もが幸せな顔で天国へ旅立っていくための
誰もが自分の人生そんなに悪くなかったよと思えるための
1週間。
それをサポートする人たちの目は誰に対しても暖かい。
そして死してなお、まだそうやってたくさんの
出会いと別れを繰り返して心がより深く大きくなってくのね。

天国も、あの世と現世をつなぐ場所も間違いなくそこにあって
そして違う世界でもまた泣いたり笑ったりしてる・・・。
なんてことを思いながら見ていた「敬老の日」なのでした。

posted by Ageha at 17:34| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画、DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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