
あんましクールウイッチっていう印象はなかったですね。
なんとかして子供を産ませてあげたい、
その姿勢は産婦人科医というよりはオンナの部分のほうが
前に出ていた気がしました。
代理母の問題。
不妊治療のエキスパートなら禁断の世界へも足を踏み入れる。
これはそういうお話。
細胞分裂してくときに
染色体の異常が一か所でもあったらそもそも受精卵が10か月後に
赤ちゃんになることもむずかしい。
母体もしくは胎児にそのあともおこるであろう、トラブルやハードルを乗り越えて
無事産声を上げるまでにはいくつもの奇跡がある。
こういうの見てるとやっぱ命の不思議や尊さを思う。
今自分が元気で日々生きているということも・・・。

仲間の医師が逮捕された。
出産中のトラブルでひとりの妊婦が死んだことでその罪を問われて。
そんなん言われたら誰も怖くて子供とりあげられない。
でも、確かにその女性の命は帰ってこない。
そのショックのほうが逮捕されるという憤りよりも彼を苦しめる。
こんなシーンをみてると
自分はよくぞ二人の娘の母親になれたもんだと思う。
生まれるときから親孝行でね、
一人目が4時間、二人目も2時間しか苦しまなかった。
陣痛から分娩までめっちゃ早かったもん。
・・・産みの苦しみ味わってへんて言われそうだな。
まあ大学病院て促進剤とか打つし、24時間たってもダメだったら
いったん陣痛を抑える点滴なんかも当時はしてたから
そんなんて、自然分娩も自然じゃないと思いません?
まな板の上のオカンはそれはそれでリスクあったんだよ〜。こわいやん。
医師や病院の都合で出産振り回されたら。(わわわわわ)
病院をたらいまわしにされて助かるもんも助からなかったっていう現状は
妊婦だけじゃない。
医者不足も受け入れ拒否も
普段健康なときならかわいそうだね、ひどいねで他人事を眺めてしまいがちだけど
これが自分や自分のまわりでおきたらとおもうと俄然こわくなる。
海堂さんの小説って医療問題をわかりやすく若干エンタメ要素をいれて
みなに示してくんだよな。重たい話を読みやすい小説にしているのは
魅力的な登場人物のおかげかもしれんが。
バチスタシリーズの映画化は2作ともどっちかいうと
コメディサスペンスだったけど
今回は大真面目。(わわわわわ)
ただね、正直どんだけトラブルが続くクライマックスであっても
話できすぎてて
そこまでハッピーエンドにはならんだろふつうって
そこはフィクションの世界でもちょっとツッコミを。

↑そりゃそうあってほしいと思ったけどあまりに都合よくね???(わわわわわ)
ラストはこの主人公である医師・理恵の幸せな笑顔でしめくくられてる。
そのことそのものはよかったねといいたいところなんだけど
自分の母親をモルモットにしてないか?
代理母云々というけどそれはおもいきりジコチュウな話じゃないん?
技術があるから自分の子供はなんとかなった。でも・・・
職権乱用とはいわないが、医学学会に物申すにしては
ちょっとこの展開はどうだったのかなって。
彼がキャリアとして上にあがっていって
私は外から体制を変えてく・・・ってあれ?
踊る大捜査線の医師バージョン?
話が教授の耳にもはいっていながら特にトラブルもなく
つぶされることもなく。
出産シーンも台風や停電こそあれ無事完了。
そもそも余命わずかな医師が気力だけで赤ちゃんとりあげるなんて
そうなるとは思ったけどやっぱできすぎ。
宿った命のすべてに光を。
この「光をみせてあげたい」その祈りだけがとにかくあたたかい、
子供を見たら誰だって顔がほころぶ、その幸せな部分だけをみていたい
・・・そんな映画でした。あまりに抱える問題は難しいんだけどね。