2010年09月28日

他人事じゃないダークサイド〜「悪人」〜

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これだけ見たらまるで悲劇の恋人たちみたい。

殺人を犯したという意味での社会的制裁を受けなきゃいけない悪人は
祐一なんだが、
実際は寄り添っている光代もまた
彼の罪をさらに重くした悪人で。

見終わった直後ってのはなんだか
ラブストーリーに置き換えられちゃった感があって
さらに何とも言えないやりきれなさが残った作品でしたね・・・

首を絞めることでしか愛情表現できないなんてあんまりじゃん・・・



殺された女の子、正直見てるこっちにはむっちゃ
胸糞悪い印象しかなくてね。
実際にはそのへんの居酒屋とかでおそらくは
ふつうにころがってる会話なんだろうなって思うと
さらにやりきれない気持ちになって。

真夜中の山中に平気で女の子を蹴飛ばして車から追い出して
帰っちゃう男の子。
ここまでしないにしてもこれもまたそのへんにあるような光景。
…知らないだけで、こういう場面はきっと映画だけの話じゃない。

本気で誰かと出会いたかった。
その不器用さと孤独とがお互いを呼びあったとして、
出会い系サイトってのはけっして聞こえのいいもんじゃない。
この二人の場合はどうだったんだろう・・・
出会いの前に事件がなければうまくいってたのかな・・・。
体から始まる恋愛を信じますか?
いきなりホテル直行の男の子を信じますか?
いきなりのこのこついていく女の子を信じますか?

出会いだけいうならほかにいろんな方法があって
その分だけこういう話はいくらでもある。
たとえばブログだってツイッターだってmixiだって
見ず知らずのひととつながる中でホントに会いたいと思うひとだって出てくる、
それは大丈夫なん?そっちは健全なん?って言われるとこればっかりはわからない。


光代サイドだけ見たって、
今までさみしかった、誰かに必要とされたかった、
この街から連れ出してほしかった、
吊り橋効果の果ての逃避行に酔ってただけじゃないのかな・・・

あの人は悪人なんですよね・・・・さてこのあと、彼女はどうするんだろう
そんな、映画を離れたところでのこの続きをふと思ってました。

妻夫木くんてね、たしかにクライマックスのシーンはすんごい顔してたけど
基本つぶらな瞳のワンちゃんみたいなとこがあってね、
悪になりきれないのな、やっぱり。
危険な香りがして影があってというより
なんかほっとけないよっていう「弱人」?(おいおい)でね。
光代は恋人というよりはなにか母性で彼を少しでも暖めようとしてたように
見えたわけで。

さみしいという、孤独だという、
でもね、なにかこういう事件があると
好むと好まざるとにかかわらず、人は一人じゃないんだと気が付く。
信じられないくらいたくさんのひとと関わっていて、
見ず知らずのひとの善意に触れることもある、もちろん悪意にも悩まされるけど。
支えてくれるひと、愛してくれるひと、見守ってくれるひと
本当は誰にでもいるんだと。
そうやってどんなどん底からでもひとははいあがっていける。


ちやほやされることで騙されるひとも
きっとそういう心の隙間にふっとはいりこむ「今ほしいもの」を
そのひとがくれたならどっかで悪も善にすり替わってしまってるんだ。
そういう小さい悪なんかそれこそいくらでもある。
避けて通れるほどに人は強くないから。

祐一をかこむ状況は決していいもんじゃなく、
運が悪かっただけで、いろんなことが悪い方向へ転がっただけで、
…もちろん罪は罪として許されないことだけれど
明日自分が陥るかもしれないダークサイドだと思うと
別の意味でずいぶん怖い映画でした。


posted by Ageha at 02:44| 大阪 ☔| Comment(0) | TrackBack(4) | 映画、DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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