いや〜こんなheavyな話だとは思ってませんでした。
てっきり事故かなんかで亡くなって、あ、間違えましたって
代わりの体を提供されて、他人の体で人生やり直してシッチャカメッチャカな
体験をするもんだとばっか思ってたんで。
うわ〜なんてハードな15歳だと。
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3年間いじめられて、シカトだけじゃなく暴力もあって
友達なんぞ当然おらず、それでもちゃんと学校には通ってた。
父を軽蔑し、兄にはバカにされ、そして
母は不倫、片思いの彼女は援助交際と
まあそこまでいってしまったら死にたくなる気持ちもわかる。
ってか、よく何でもない顔して学校通ってたよなって
そっからびっくり。私じゃ絶対もたんわ・・・・・
ところが、輪廻の輪に戻したるからもいっかい現世で修業しなはれって
自殺した少年の体をかりてよみがえり、
彼の人生の続きを体験することで自らの罪をも考えていく。
最終的には、人には強さも弱さもあって
美しさも醜さもあり、それを受け入れて生きていくもんなんだと
彼は悟っていく。
誰だって隠したいこと、許せないこと、受け入れられないことがあって
そのすべてが解決するわけではないけれどそれでも
死んじゃダメなんだよと。自分の人生を生きて行けと。
そこまでたどりつくわけだ。すごいよな・・・・・
劇中かかる、アンジェラアキの「15の君へ」は正直あざとさを感じたけどね。(!)
プラプラは自分の分まで真に幸せになってほしかったんだと思うな。
口は悪いし、あれでフォローしとるんかいって思ったけど。
実はええやつで。
あんなにしんどい学校生活でも
たとえば、肉まんを半分わけして食べる相手がいるそれだけで
人生変わり始める。単純かもしれんけど
人はそんなちいさなことからでもやりなおせるし、
今まで見えていた世界が少しずつ色を変えていく。
好きだった女の子のいやな部分もみにくさも
それひっくるめてその子をうけいれられるようになったし
どうでもよかった女の子のおせっかいも
自分をずっと見てくれていたまっすぐな瞳に気がつく。
ひとってそんなに連鎖反応で何もかも
受け止められるようになるもんなんやろか。
まあこれにはひとつ前に書いた肉まんの相手、早乙女君の存在が
かなり大きいんだけどね。
彼とのやりとりのなかでどんどん周りの友達とも
それから家族ともどうにかこうにかそれらしいつながりができて
自分が変わることでまわりが変わる、いや
まわりを受け入れることができたおかげで
人生そう悪くないもんだと感じることができたわけで。
いや〜すごかったな。マネできないな。
そんな人間できてませんから。
置かれた環境の重たさもそこから変わってく自分も
とにかく絶句と感心と。私は固まってました・・・
いじめられた経験こそないものの、
大勢の中でのどうしようもない孤独とか
環境になじめないさみしさなんてのはしょっちゅう味わっていて
だからといって自分から働きかけるほど何かアクションも起こせなくて。
死ぬ気になれば、死ぬことが怖くないなら何でもできるんちゃうんって
人はいう。
でも、当の本人にとってはきっとそんなふうには思えないもんで。
それでも生きていくなら(死ぬ勇気がないことも含めて)
やっぱり傷だらけでも、相手を傷つけても、
かかわっていくなかで変えていくしかないんだろうなって。
何もしなければ何も変わらない、ましてや死んだらおしまいだしね。
と、いうようなことを考えながら
美術室での会話にポロポロないてました。
そこまでたどりついたか、キミは。すごいなって。
アホやけど、親目線でえらいなえらいなって思ってました。
まだ15歳じゃん。
彼はこれから、いくらでもその色を増やしていけるだろう。
醜いものも身に着けることだってあるだろうけど
自分であれ、他人であれ、
どんな色であってもそれを否定することなく生きていける強さがあれば
彼はもう大丈夫。
いや感動もんでした。かなり重たい話だったけど
最後がハッピーエンドでよかったよかった・・・。
PS:今ホントに人間関係に悩んでるひとへ。
主人公の真と同じくらいの子供たちにまず見てほしいと思うけど
バックに流れる歌をきいてると
案外かつての中学生だった自分にも届くメッセージがあります。
今の自分にさえもこれだけ響いたのだから、きっと。
出来たらそこから一歩進んで、色んな色はあるけれど、消して表に出しては
いけない色があることも解って欲しいと思います。
お母さんを泣かせるシーンでそんな風に思いました。自分も経験ありますが
男の子がお母さんを泣かせるのは、これ以上ないほどバツが悪いものです。
私はその時、二度とそういうことはしない、どんなに腹が立とうともって
思ったものですが、真もそう思っていて欲しいです。
あの家族にとって、真の自殺は悲劇だったかもしれませんが
きっかけはともかくとして
家族再生に必要な大きな痛みだった気がします。
そう思えば彼もまた天使だったかも。
もちろんそうとうしんどい葛藤がここにもあったし
お互いを受け入れるのは大変だったと思いますが。
醜さだけじゃなくて、わがままであったり、
人の気持ちくみ取れない言葉の暴力であったり、
そういうことも含めて人はいったん吐き出さなきゃいけないことも
あるんじゃないでしょうか?
少なくともいい悪いをこっちにおいて
真は周囲とちゃんとかかわる必要があった。
お母さんにはヘビーな話だったかもしれませんが
一度はぶつけないと前に進めない、確かめないと気がすまない、
かわいそうですがあの言葉を伏せて母を理解するのは
無理だったかと思います。
ただ、その上で傷付けた後悔だとか
今までもこれからも、それでも自分を愛してくれるひとに
感謝の気持ちがちゃんとあるなら
ここから先彼も大きな愛を母親へきっと返していけると
信じています。・・・きれいごとになっちゃいますかね?