2006年03月31日

世界を一瞬で消す方法がわかりました。〜「スクラップ・ヘブン」〜

多分ね、ミニシアター系の映画って
何かのきっかけでないと予告にふれることもないし、
そんな映画いつやってたのよってのがほとんど。
この映画も実はDVDになってから、
パッケージに書いてあったこのひとことで
手にとったというからなんだか・・・。

スクラップ・ヘブンスクラップ・ヘブン
加瀬亮 李相日 オダギリジョー

バンダイビジュアル 2006-03-24
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それってもしかして
偶然を装って武器を拾うことで弱者と強者が入れ替わるって
ことですか??
この段階でまだ爆弾は使われてませんが
盗まれた拳銃でもって首都がパニクってるだけでも
たいがいオオゴトでしたね。

「誰にだって復讐したいヤツがいるんだよ」
確か柄本明がこんなふうな台詞を言ってたと思うんですが
ちょっとやりすぎたゲームのために同僚が自殺して
シンゴ(加瀬亮)をボコボコに殴るシーンは結構グッときましたね。
はじめは誰も傷つけないはずだった復讐ゲームは
調子にのって理性のタガがはずれたとたん、
想像力が足りねえんだよといきまいていた彼の
許容範囲を超えてしまう・・・。
ここでの言い方をそのまま使うなら
実は彼自身どうしようもなく「想像力が欠如してる」から
結局自分で自分の尻拭いができないのである・・。


お父さんの遭遇してしまった事件、自分が遭遇してしまった事件、
結局誰も助けてはくれなかった。
その怒りの矛先もどこへむけていいかわからない。
・・でも復讐といいつつ、実は自分自身に対して
どうしようもない憤りを持ってたんじゃないだろうか。
クソみたいな人生だと。
・・・それはテツ(オダギリジョー)の自由奔放さをともなって
とんでもない方向へ向かっていく。

義眼の薬剤師のサキ(栗山千明)だってそう。
差別や偏見でもって悲しい思いをした積み重ねは
具体的な相手でなくもう世界にむかって復讐しようとする。
トランクに積み込まれた試験管の膨大な数は
彼女の行き場のない怒りそのものかもしれない。

ただね、理不尽な暴力に対して
そないに無邪気で残酷な復讐はしちゃいけないのな・・。
はじめの2件は笑えるけれど、最後の1つは被害者続出。
やり方がむちゃくちゃなのよと言う意味で
青いというかオコチャマなのな・・・。

テツはシンゴをかばって結局この世界からおさらばしてしまう。
シンゴは逆にこの世界で生きていくことが
むしろ彼の償いだったりする。
そしてまだ具体的に行動を起こしていないサキは・・・。

う〜ん、コミカルな部分がかなりあったんですけど、
根底に流れるものがけっこう重くて、
見終わって思いっきり考え込んでしまいました。

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posted by Ageha at 12:45| 大阪 ☀| Comment(14) | TrackBack(17) | 映画、DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
TBコメントありがとうございました。
細かいとこまではさすがに忘れちゃってるんですけど、印象的な映画だったのは間違いないです。一見表面的なエンタメのようで深いところでいろんなものを内包してる作品かもしれません。そのうち私もDVDで再観賞してみようと思います。
Posted by かのん at 2006年03月31日 15:18
かのんさん、どうも。
実はえらそうなことをイッパイ書きましたが
映画自体はサラッと流して見てしまったので、あとでアセアセです。


栗山千明が演じてたサキみたいな子には
「1リットルの涙」を見せたいというような話を書いてらっしゃって
コレには同感。
・・・でもそういう障害やら病気やらを
持ってる人らがその域まで
自分を昇華させられるかどうかは
その人次第かもしれませんね。
甘ったれというにはそのつらさを知らない自分にはなんとも・・。
若さの暴走を認めるつもりはないですが。
Posted by Ageha at 2006年03月31日 15:39
こんにちは♪
うーん、何度も見たのにいまだによく分かりません(汗)
彼らの思いを受け止めるには年を取りすぎたのか、想像力が足りないのか・・・。
ただ、彼らもまた「想像力が足りなかった」ということだけはわかります。
どうしても柄本さん演じる刑事のようにしか考えられないんです。
オダギリジョーに関しては言うことありません(笑)
あんなに楽しそうに演じている彼を見ているだけで嬉しかったです。
Posted by ミチ at 2006年03月31日 23:53
ミチさん、どうも。
・・やっぱオダジョー作品はそちらで
レビュー見てからと・・(笑)

どうなんでしょうね。
私自身はサイコーだ気持ちいいと思った自分がいたし、
反面柄本さんが出てくるとそれはそれで
激しく納得してしまって
分裂した自分をまとめられませんでした。

オダギリジョーはやっぱこういう役のほうが向いてるのかな〜・・・。

この映画エンディングもどうしたいか考えてみてってのがあったようで
かなり自由度があったようですよ。(!)
Posted by Ageha at 2006年04月01日 07:54
こんにちわ♪
非現実を描いているように見えて、すごく現実を突きつけられる映画だった気がします。
シンゴの一歩踏み出したいのに踏み出せないところは、親近感を感じました。
オダギリジョーと柄本さんはさすがだなって思いました。
Posted by こーいち at 2006年04月01日 14:02
こーいちさん、どうも。
どこにでもある話・・ではないかもしれないけど、
こんな気持ちでイライラしてる人は
実はいっぱいいて、
そう思うと結構いつおきてもおかしくない
かなりリアルなものに思えました。
オダギリジョーはこういう役やらせると
もうイキイキして見えます。
柄本さんはまっすぐな大人代表みたいで
とても渋かったです。
Posted by Ageha at 2006年04月01日 23:19
こんにちは、TB&コメントありがとうございました。
この映画は、サントラその相乗効果でとても印象の強い映画でしたね。
江本明(体制側)から観ているのと、二人(三人)から観ているのとでは、全く違う感想になります。
そもそもが、「世界を一瞬で消す方法」があると思っていること自体が、間違いなのですが。
Posted by jamsession123go at 2006年04月02日 16:14
jamsession123goさん、どうも。
これもまた見終わって考え込む映画でした。
大人目線でみれるのか、彼らに同調してしまうのか、
見る人によってぜんぜん違った感想に
なるのでしょうね。

想像力が足りないんだよといきまいてる本人が
実は一番想像力がないんだということを
逆に体制側からつきつけられるという皮肉。
そして「想像力」というアバウトな単語が
妙に意味のある重い言葉になるのも
また不思議でした。
Posted by Ageha at 2006年04月02日 16:27
こんにちは。
コメントありがとうございました!
なんかご迷惑をおかけしたみだいで。。
今、ココログの調子が最悪なんですよ(泣)
お手数をおかけしました。
今後も仲良くしてくださいね♪
Posted by こーいち at 2006年04月02日 21:04
こーいちさん、どうも。

いえいえこちらこそよろしくです。

今までは記事を再構築しない、
ping送信をしない・・でも相手にトラバが
送れたのに、
ブログによって、その日によって
TBが反映されない時があるんです。
毎日毎日どっかにトラバするたびに
なんかうれしがって「新着!」ってでちゃうと困るんですが
最近は仕方なくTBのたびに再構築してます。
Posted by Ageha at 2006年04月03日 09:23
Agehaさん、おはようございます♪

最近この映画を観ました。
Agehaさんの記事、すっごく上手くまとめられてて、私の見逃し部分をたくさん発見しました。特に栗山さんのとこ。
TBさせていただきますね。
Posted by AnneMarie at 2007年03月28日 10:46
AnneMarieさん、どうも。

う〜ん、青いなというか
後先考えない分ただの物騒なオコチャマやと
思うんですけどね。
ただ、心の闇ってのは
はけ口を間違うとこんなことになってしまうんだなっていうのは
怖かったですね。
ええ年してますんでどうしても
柄本明目線で見てしまうんですが
うん、そらいろいろあるんだろうけど
やっぱし間違ってるやろと
ごくごく当たり前の感想しかかけませんでしたね。
Posted by Ageha at 2007年03月30日 08:52
 あら・・・
もう一度見直さなきゃいけない(爆)

もうどんな話か全く覚えていないしヾ(@^▽^@)ノわはは
Posted by しんちゃん at 2007年11月19日 19:30
しんちゃん、どうも。

うん、突然だいぶ前の記事にTBしました。(笑)

心の片隅の記憶はね、
まあイライラする気持ちがわからないわけじゃない、ないけど
・・・このドアホ〜〜〜っていう怒りが
残った事を覚えてます。
なんかうまく言えないけどやりきれなさが
ありましたよ、コレ。
作品がどうのじゃなく、こんな風に
走ってっちゃうんだっていう・・・。
Posted by Ageha at 2007年11月19日 23:17
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