
自分の理解の範囲を超えたもんがやってきたとして
自己防衛として
やらなきゃやられるとして、
武器もって抵抗するのはある意味仕方ないとして。
・・・宇宙船の中でヘナヘナになってた
宇宙人を保護した、そこまではよかったんだが
当然相容れないものが増えれば摩擦は起きる、
しかも相手が「いまんとこ」は無抵抗となると
そんだけ虐げますかって話で。
そもそも真剣に立ち退き命令の誓約書もって
一軒一軒回る自体がこっけいで
もちろん形だけなんだが、
今収容しているところよりも
とりあえずも少し僻地へ追いやっちゃおうってことで
住み着いたエビたちを追い出そうとする人間。
・・・目的は相手の進んだ文明を取り入れて
あわよくばその武器をわがものに・・・ってことなんだが
残念ながら彼らの武器は彼らにしか使えない。
ところが、ここで、
その武器を使える人間がいたとしたら?
物語はそこから大きく動き始める・・・。
SFの形を取りながら、
南アフリカを舞台にして、
これでもかと実際の人間世界の摩擦やら誤解やら
何より人間てやつのエゴの部分で
こんなにも心の醜い部分を浮き彫りにしちゃうのかと
それはそれは気分悪かったですね。
主人公のヴィカスはとある液体がかかってしまったことで
彼らが忌み嫌い虐げていたエイリアンへと
どんどん体が変化していってしまうんですが
その映像が示す時間経過が
緊迫感と、そしてモルモットになってしまった彼の存在を
痛いほど表してました。
「麻酔なし」でいきなり
体100%実験材料として切り刻もうとするかって話で、
研究者ってそこまで出来るもんなんでしょうか?
いきなりたったひとつの
レアな「価値ある物体」としか見てもらえなくなるって。
昨日まで追いやる立場だった人間が
今度は『人間から追われる』ようになったとき
結局は自分の体を直してくれるならと
エイリアンと手を組むんですが
もいっかいええとこでエゴが出て
クモの糸が切れるように、願いはかなわぬものになってしまう。
自己犠牲でもって
エビ親子を母船に送るとこまで援護はしたけれど
さて彼の行動にどこまで共感できるだろうか?
それでもジャンクで花を作るシーンは
切ないと思っちゃった。
ただ、3年後、彼が元に戻りたいと思うかどうかは
ナゾだ。
自分がもといた世界からはみ出てしまったときに
こんなふうに扱われてしまうのなら
・・・自分も含めて人間てやつがやになっちゃうような気がする。
子エビかわいい♪(あのね・・・)
それでも
『未知との遭遇』とか『E・T』みたく
平和なファンタジーにはならない。
クリストファーがいくら
郷に入っては郷に従えで人間の都合に合わせて暮らしてても
だからといって受け入れられるかというとそこは別で
そういっちゃうと
動き始めた宇宙船を写メる人たちと自分は
さして変わらずで、
寄らば斬るぞで銃を向けるひとらとさして変わらずで、
・・・相容れないものとわかりあう方法なんてものを
ここでつきつけられると実はモガモガなんですが。
エイリアンだからじゃなく
実際にこの世界にある、差別とか偏見とか
そういうリアルな話に置き換えられてしまうと
全然ちゃんと答えられないですけどね・・・・
まあ気持ちいいくらいぶっ放して木っ端微塵なんで
スプラッタじゃなかった分むしろ気持ちいい破壊で
人が死んだって感じはしなかったですけどね、
しっかしド派手で、もう感覚マヒ。武器強力すぎ。
シニカルで面白かった。でも正直
いろんな意味ですんごく気分が悪くなる作品でもあるので
2回目は見ない・・・かも。続編・・やるの?コレ?マジ???
クリストファーは「違法だ!」って主張してる辺り、完全にエイリアン
と人間の会話じゃないし。(笑)
でもねぇ、そんな中に人種差別やホロコーストといった歴史上人間のが
行ってきた醜い部分を叩き込んじゃう。まったく何てことを考え付いち
ゃうのかと、ひたすらそのアイディアに感服です。
続編はいりません。もともとアイディアの勝利な作品に、金を注ぎ込ん
でも仕方ないですよ。別にエイリアンが高級になったり、1体しか出て
こなかったとぼっとガ一杯出てきても、それ自体はどうでもいいことだ
し。むしろ、お金出すなら別の作品をこの監督で撮らせてみて欲しいです。
うん、続編はいいです。
アイディアでこんだけのもんが出来るんだってことを
見せてくれたんだから、別の作品が見たいですね。
まあそれがこの監督の評価を決める一本になるかと。
人気監督の仲間入りするかどうかのテストになるかもですね・・・。
ジブリじゃないですが、裏の意味ばっか考えると
ものすごくいろんな思いが後ろにあって
素直にエイリアンVS人間て見れないとこがまずブラックで
さらに人の弱さとかエゴとか醜さとか見せられて
かなりキツかったです・・・。