2006年02月13日

ガーベラの雨が見える〜「ギミー・へブン」〜

ギミー・ヘブン

これまた「スキージャンプペア」と同日に続けて見るもんちゃうんですが。
どちらかというとこの手の映画はAgeha苦手なんですけど、
「アナザヘブン」・・だったかなこれも確か江口洋介がメインで
雰囲気の似た映画なんですがその路線だったもので。

何より興味を示したのが「共感覚」というもの。

目にみえるものが人と違う、
目から入る情報以外に、色やほかのビジュアルやにおいや音を
感じ取ってしまうというもの。
そして悲しいのは共感覚をもつもの同士が出会えたとしても
その人同士でさえ同じように見えたり感じたりできるとは限らないということ。
もし何万分の1の確率でめぐりあえたとしたら
そこはその人同士しかはいれない完全な密室。
そんな絶対孤独のなかで人を求める気持ちは半端じゃないから
ある種の狂気へと走る。
これはとても悲しいおはなし。
ガーベラの雨は本当にキレイだった・・・。


ただ、残念だったのは根本にある連続殺人事件の謎解きを
語りでたたみかけるように流してしまったことで
推理もんでもなんでもなくなってしまったこと。
共感覚に関してももっと映像で見せてくれてもよかったのになと。
・・・というか共感覚の持ち主であるという設定を
生かしきれなかったような。

宮崎あおいが「NANA」とぜんぜん違う顔をしてます。
松田龍平は逆にAgehaが彼に持ってるイメージに限りなく近かったかな。
「タナカヒロシのすべて」は未見ですけど
鳥肌実さん・・・の怪演がやたら目にやきついちゃいました。
いやなんというかそのビジュアル的にインパクト強すぎ。(笑)

何を先に見るかで映画の感想は変わってしまうんですが
せっかく映像で語れる部分を、せりふのみで片付けてしまったのが
とにかく残念で、この内容の奥行きは原作読まないと感じられないかも。
で、映画の内容よりむしろ「共感覚」の本のほうが
調べてみたいかも・・・。

もっともそれを個性だとか特別神様に与えられた魔法の力よとか
そんなふうにポジティブに考えられるかどうかはともかくとして。
・・画家とか作曲家、小説家なんかになると大成しそうなのにって
そりゃ他人は希望的憶測でもってうらやましがるかもしれないですが。

別にこんな特殊な例じゃなくっても
「自分のことどれくらいわかってくれるんだろう」
「どうやったら相手の気持ちがわかるんだろう」
・・・そんな悩みは誰しももってるわけで。
わかりあおうとする気持ちで乗り越えていくもので。

強引ですけどわかってほしけりゃわかってもらえるように
気持ち投げ続けるしかないんですよ。
それが受け入れてもらえるかどうかはともかくとして。
・・・なんだかバレンタイン前の怒りのコメントみたいになったので
これくらいで。

posted by Ageha at 15:25| 大阪 | Comment(8) | TrackBack(19) | 映画、DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私も最後のほうで石田ゆり子刑事が謎解きをセリフで説明したとき「あぁやっちゃった・・・」と思いました。あれじゃ火サスですよね。

ラストのガーベラの雨はとてもいい場面だっただけに、そこまでの伏線の張り方が弱すぎたのが残念でした。タンポポのスプーンとかミッキー、ドナルド、グゥフィとか、もっと具体的に描いても良かった気がします。発想は好きだっただけに残念です。
Posted by かのん at 2006年02月21日 17:21
かのんさん、どうも。

あのガーベラのシーンと
宮崎あおいが弾いていたピアノのメロディが
とても美しかった。
発想はおもしろい映画だっただけに
石田ゆり子に全部しゃべらせてしまったのが残念。
いっそ岸壁で語りますか・・・。
ってそこまでしたらコメディ。(おいおい・・・)

あ、でも小説版も読んだんですが
映画とそう変わらなかったような。
新介の父が彼の共感覚を芸術的才能だとほめてくれたこと、
それから誰も理解しいえないこの状況を
新介が受け止めるにいたった経緯が
補足されてるくらいでした。
Posted by Ageha at 2006年02月22日 10:55
TBありがとうございました。こちらからも送ります。

わたしも「共感覚」という素材を面白いと感じたのですが、それがあまり生きていませんでしたね。残念です。アンダーグラウンドな世界もそれはそれで見栄えがしたんだけど、テーマとうまく結びついてなかったような……。
Posted by ちか at 2006年06月12日 22:05
ちかさん、ようこそ。
お返事が遅れてすいませんでした。

取り上げるテーマがおもしろかっただけに
とても心惹かれたのですが
コレだけ役者が揃っても
そのセカイを十分表現できなかったのは
やっぱり残念としかいいようがなく。
・・それでもガーベラはやっぱり
キレイだったと。
改めてDVD見てもそこばかりが
印象に残っちゃいました・・・。
Posted by Ageha at 2006年06月15日 15:01
こんばんは、TBありがとうございます。
ラストのガーベラ、あのシーン撮りたかったんでしょうね。キャストも素材もいいのに残念な作品でした。初監督作品らしいので次回作に期待したいですw
共感覚者と言われている有名人に、カンディンスキーやスティビー・ワンダーが入っていたのにもちょっと驚きました。
此方からもTBさせて頂きます、また宜しくどうぞ。
Posted by lin at 2006年11月15日 22:26
今頃ですが、コメント書こうと思います。
共感覚が実際に存在するものだということを映画を見た後に知りました。
とても興味深いものです。

ひとつ映画の中で気になったのは、
気持ち悪い絵の正体が、
ミッキーやグーフィだったという場面。
私たちが見る普通のミッキーを見て、
共感覚者があのように感じる(見える)のなら、共感覚者がミッキーを描いた場合、
たとえその人がどのように感じたにしろ、
描いたものは普通のミッキーにしかならないんじゃないかなと思いました。
もし、あの気持ち悪い絵がミッキーだとすると、共感覚者にとってあの気持ち悪い絵も、普通のミッキーも、ミッキーであるわけです。
Posted by ゆう at 2007年07月24日 12:21
linさん、どうも。
・・って、

ギャ〜〜〜。

すいません、去年いただいてたコメントなのに。
ゴメンナサイ、ゴメンナサイ。

ガーベラの雨もテーマもとってもよかったのに
かのんさんの言葉を借りると
「あ〜やっちゃった」な作品でした。

自分をなかなか理解してもらえない人には
こういう話って
ピンポイントで心に響くもんなんですが
それでもやっぱ惜しいなこの作品って
印象でした。
Posted by Ageha at 2007年07月30日 00:26
ゆうさん、どうも。

>共感覚者にとってあの気持ち悪い絵も、普通のミッキーも、ミッキーであるわけです。
・・・言われてみればそうですね。

だったら、一つ余計に感じているだけ(!)で
何も日常生活に困るとか
孤独にさいなまれるとか
ないような気がしてきました・・・。
むしろ才能じゃないですか?

このスプーンは何に見える?と聞かれて
タンポポと答える。
・・スプーンとタンポポが
どういうものかわかっていなければ
この会話は成立しないわけで
目の前のスプーンがスプーンとわかっているなら
「スプーンに見えている」はずですもんね・・・あれれ?
Posted by Ageha at 2007年07月30日 00:42
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