2009年05月19日

血の誓いに縛られた兄弟。〜「ウォーロード」〜

ウォーロード03.jpg

さて、やっと本題に入れる。(爆)

太平天国の乱〜馬新貽の暗殺事件までのお話。
盗賊のアルフ、ウーヤンと投名状でもって
義兄弟の誓いを立てたパン。この三人のたどる栄光と悲劇の軌跡。
(うわ〜むっちゃはしょってるな・・・笑)

この映画見てるとね〜ジョン・ウーの撮ったレッドクリフが
いかにエンターテイメント作品だったのかって思う。
作戦としての陣形ってのはもちろんホントにあったのだろうが
なんていうか美しく作られてる・・・気がしたのね。

ホントの戦争って敵味方入り乱れてむちゃくちゃ斬りあって
血まみれになるのが当たり前なんだよね。
大見得切って大勢を相手に、確かに強い武将ならアリですが
それでも四方八方からくりだされる槍が
頭の上で星型にクロスするなんてやっぱりありえん。(爆)
(詳しくはレッドクリフパート1にて)

さて、この映画パン役を演じたジェットリーが
あまりに非情でなんだか悪役みたくも見えますが
将軍として切り捨てなければならない情があって、
ある意味上に立つものの残酷さって暗黙の了解みたいなとこが
あるんですよね。
もちろん、野心もあっただろうけど
アルフとウーヤンを結果的に裏切り、苦しめていながら
彼らを信頼し、彼らと行動を共にできたからこその成功は
胸にあるわけでそれが彼の良心を苦しめもするわけです。

で、盗賊だったアルフとウーヤンにはその奥にある
涙なんてもんは理解できないからどうしてもどんどん
その溝は深まっていく。
人をひきつけるカリスマ性のあるアルフは
パンにとって邪魔になってくし
戦いにおいて将はひとりでいいと言われた段階で
今まで盗賊といえどもたくさんの村人を率いてきたアルフの
プライドは傷ついたはず。
で、もともと戦に参加した理由も
その先に見ていた未来もパンとは異なるわけですから
アルフの生き方というのはどこまでも愛にあふれてて
それは戦乱の世で上に立つものにとっては
理想論でしかないわけです。
それができるくらいなら苦労はしない、おそらくパンは
そう思ってたんじゃないでしょうか。
・・・でも、無益な殺生をしたくないアルフの悲哀は
見てて痛々しかったですね。敵将との約束を果たせなかった
その自分が許せずに叫ぶシーンはもうかわいそうで・・・。

戦いにおける割り切らなければいけない部分においては
パンが正しい、でもアルフの気持ちも痛いほどわかるウーヤンは
そらもう板ばさみでこれはこれで心が引き裂かれる思いをします。
どっちのいうことにも従いたい、
そしてどちらの力にもなりたい、
そらムリな話です・・・。


義兄弟の契りは何ものにも変えがたく、
それを律儀に守るがゆえに、
アルフとウーヤンは納得のいかない部分もありつつ
最後までこの戦いにつきあうことになるわけですが
そのあともパンとアルフの妻の密会
アルフ暗殺と、ウーヤンはどんどん追い詰められていき
結局パンに刃を向けざるをえなくなってしまいます。
その結果の悲劇は・・・・。

金城さんがジェットリーを倒せるはずがなく
そういうふうにしましたかというオチでした。
実際アクション以外の部分でも
アンディラウとジェットリーのオーラってすごいのね。
ひとり浮いてしもたかな〜と。
激情型のキャラを演じた分だけ幼く見えてね。

あともひとついえば、
場面と場面のつながりがものすごぶった切ってるとこがあって
これから戦だ〜ってはずがえ、終わってるしとか(爆)
そこ省略ですかって、え、気持ちついていけませんよって
そのへんが残念だったかな〜と。

彼が演じたパンという役柄は好きになれませんが
この映画、私ジェットリーの心情表現に感動でした。
アクションスターにしてはこんな複雑な役演技できるんだなって
改めてすごいなって・・・。
posted by Ageha at 18:51| 大阪 ☁| Comment(10) | TrackBack(20) | 映画、DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
金城武もこの3人の中に入れるようになったとは、随分成長
したものです。同じ日本人として嬉しいです。
いつも思うのですが彼は日本語の演技より中国語の演技のほ
うがいいです。
日本のからに捕らわれず世界で活躍して欲しいと思いました。
Posted by KLY at 2009年05月19日 23:42
KLYさん、どうも。

金城さんてハーフなんですよね。
それもどちらかというとアジアンスターの位置づけで
逆輸入みたいに邦画に出てくる。
たまたま去年は死神の精度、K-20と続いたけど
基本は中国、韓国での活躍のほうが多い。
・・・にしてもやっぱり格の違いを見せ付けられた気がしました。
彼単体で見るなら十分スターなんですが
あとのふたりがやっぱりすごいわと。

金城さんって助演でおいしいとこもってくタイプじゃないのね、
おそらく。
自分が真ん中にいるならオーラ全開なんだけど
あのふたりと肩を並べるってのは
そうとう背伸びしてた気がします。
もろにウーヤンのように、必死でがんばってたなって。
Posted by Ageha at 2009年05月20日 00:50
また来ちゃいました。^^;

>にしてもやっぱり格の違いを見せ付けられた気がしました

それはありますよねぇ。まあ年齢も違いますし普通に先輩で
すから。でもきっと彼が彼らぐらいの年齢になる頃には、も
っと成長してるんじゃないかなぁって思うんです。

助演で光らないタイプでも、何とかいいとこを見せて監督や
先輩に認めてもらい、次は真ん中に…。
大変だとは思うんですが、ここで踏ん張れるかで、彼が本当
にアジアから世界のスターになれるか、所詮日本の人気スタ
ーで終わるかの境目かなと思います。
Posted by KLY at 2009年05月24日 20:49
KLYさん、どうも。

実は韓国や中国、日本以外で活躍してる彼の作品を
あまり知らない(おいおい)
若干ミュージカル(コレものすご苦手分野)なのに
ものすごく好きな「ウィンターソング」くらいで。
あとはもうひたすら邦画で見てるんです。
「スペーストラベラーズ」とか「リターナー」とか
「不夜城」とか・・・。

自分の感覚としてはメジャーに挑戦してるプロ野球選手みたく
思ってたら実は韓国や台湾のメディアからスタートしてて。(爆)
金城さんの初見は「神様、あと少しだけ」(笑)
月9からでしたし。(ハハハハハ)
でも映画の作り方は海外モードっていうか
撮り方が日本と違う国での仕事が多いんで
日本にいるときはアジアンスター。
なんか違うオーラが出てるらしい。

まだ30代ですしね。
大物と共演したことでまたワンステップきっとあがると
思います。期待してみています♪
Posted by Ageha at 2009年05月25日 22:53
こんにちは

>場面と場面のつながりがものすごぶった切ってるとこがあって
オリジナルから14分もカットされてるって知ってました?
私はちょっと損した気がします。
日本に入るときって切られてしまうものが多くて、更にDVDだともっと切られてて残念なことが多いと思います。

金城君、二人のパワーには負けますけど、これに出演したって事で勲章だと思います。
Posted by chikat at 2009年06月11日 15:18
chikatさん、どうも。

KLYさんも書いてましたけど
この経験がきっと
彼がジェットリーやアンディラウの年齢になったときに
いい年の取り方して
俳優としてひとまわりもふたまわりも
大きくなってくれることを祈ってます。
(なぜ母の境地?)

それよか映画のつなぎ目が妙に不自然で
これから戦争だ〜〜〜、
へ?なんで終わってんの?って
あまりにも省略された部分があって
シロウト目に見てもそれでいいのかそれで〜って
ツッコミたくなる箇所がいっぱいありました。
そっちのほうがかなり気になりましたね。
・・・14分どんだけのもんがあったかはわかりませんが
そうなんですかぁ・・・。
Posted by Ageha at 2009年06月16日 17:35
こんにちは♪
「レッドクリフ」とまた全然違う面白さを感じました。
あちらのアクションシーンはもう笑っちゃうくらいに歌舞伎みたいな見得が入りまくってましたよね。
私はそこが好きだったんだけれど。
こちらは画面もちょっと重苦しい感じでアクションも見得が入ってる感じじゃなかった。
もちろん、ジェット・リーには最大限の配慮を持って見せ場を作ってありましたが。

金城君・・・・。
いいんじゃないでしょうか。
ビジュアル面と純真な面担当で、役目は果たしたと思います♪
Posted by ミチ at 2009年06月25日 10:02
ミチさん、どうも。

確かにレッドクリフって
歌舞伎みたいですよね。ココ見せ場〜とはいえ、
みんながみんな、
大見得きるきる・・・・(笑)

どうしてもあの人の声が気に入らないんですが
個人的にはこの映画
パンが好きなのではなく
パンを熱演したジェットリーに肩入れして
見てたんです。
でもって、金城さんがかすんでしまったと。

ビジュアルで好きといえば
K−20がDVDレンタル開始になったんで
もいっかい見たいです♪
Posted by Ageha at 2009年06月29日 00:16
「K−20」は、あんまりはまって、2回行っちゃいました。
おもしろかった。また音楽がよかった。
私目一押しの佐藤直紀で、堪能しました。

「レッドクリフ」とはまったく切り口が違いますが、こっちの描き方、好きです。
甘アマのラブストーリーが得意の監督でしたが、なにかあったんでしょうかね、と思うくらい。
Posted by sakurai at 2009年07月14日 08:38
sakuraiさん、どうも。

chikatさんが書いてますが
カットされた部分があったら
つなぎ目の不自然さは納得できたんでしょうか?
南京攻めがスパーンととんだときは
なんでやね〜ん!って画面にツッコミ入れてました。
戦闘シーンのマンネリ化防止?

「レッドクリフ」が歌舞伎に見えるくらい、
まあホントの戦ってあれくらい入り乱れて
ぐちゃぐちゃの血みどろでしょうね。
(どんな言い方?・・・笑)
レッドクリフが漢(おとこ)のかっこよさとか
愛(なんでかな〜)を見せるのなら
「ウォーロード」はさしずめ
漢の悲哀や内に秘めた思い、
本能でもあり、理想でもあり、
うまくいえませんが良くも悪くもむき出しの感情が
画面に溢れてた気がします。
それがどんなに残酷で、
その思いが自分をも苦しめるようなものであってもね・・・。
Posted by Ageha at 2009年07月14日 15:49
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス: [必須入力]

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック

「ウォーロード/男たちの誓い(投名状)」映画感想
Excerpt: ジェット・リー、アンディ・ラウ、金城武の豪華共演で、本国での評判も高かったウォーロード/男たちの誓い(原題:投名状/英題
Weblog: Wilderlandwandar
Tracked: 2009-05-24 16:25

ウォーロード/男たちの誓い
Excerpt: (原題:投名状/THE WARLORDS) 【2007年・香港/中国】試写で鑑賞(★★★★☆) 第27回香港電影金像奨8部門受賞。 第45回台湾金馬賞3部門受賞。 西太后が君臨する激動の清朝末期を舞..
Weblog: ともやの映画大好きっ!
Tracked: 2009-05-24 16:25

ウォーロード/男たちの誓い
Excerpt: ●ストーリー●19世紀の中国。太平軍との戦いで1,600人の兵士を失った清の将軍、パン(ジェット・リー)。街に出たパンは盗賊のリーダーのアルフ(アンディ・ラウ)、その養子のウーヤン(金城武)と出会い、..
Weblog: 映画君の毎日
Tracked: 2009-05-25 00:43

『ウォーロード/男たちの誓い』@中野サンプラザ(試写会)
Excerpt: 映画友のD猫さんよりお誘いいただき試写会に参加。ウォーカーのCさんにも感謝。さて最近、レッドクリフに合わせて?中国の歴史物が多い気もします。(C)2008TalentaidInternationalL..
Weblog: たーくん'sシネマカフェ
Tracked: 2009-05-25 09:56

ウォーロード/男たちの誓い 睡魔と戦うおつむでは難しかった
Excerpt: 【 27 -7-】 海から早く帰ってきた昨日、あまりにも早い時間だったので仕事の妻にメール。 「はよ帰ってこい、腹減った!それとも明日は休みやしレイトショー{/m_0058/}見に行くか?」 というわ..
Weblog: 労組書記長社労士のブログ
Tracked: 2009-05-26 10:09

ウォーロード/男たちの誓い 投名状
Excerpt: 時は清朝末期、太平天国の乱の時代、義兄弟の契り「投名状」を交わした男たちが陥る悲劇。遅まきながら観ましたが、さすが『門徒』をかわして香港電影金像奨の作品賞、監督賞、主演男優賞など8部門をとっただけあっ..
Weblog: まてぃの徒然映画+雑記
Tracked: 2009-05-26 22:57

ウォーロード/男たちの誓い
Excerpt: 西太后が君臨する激動の清朝末期を舞台に、義兄弟の契りを交わした3人の男たちと愛と友情、そして裏切りを壮大なスケールで描いている。 物語:時は19世紀末。アヘン戦争で腐敗した清朝の圧政下。太平天..
Weblog: パピ子と一緒にケ・セ・ラ・セラ
Tracked: 2009-05-27 00:40

「ウォーロード/男たちの誓い」戦乱の世の正義に翻弄される勇者たち
Excerpt: 「ウォーロード/男たちの誓い」★★★★ ジェット・リー 、アンディ・ラウ 、金城武 主演 ピーター・チャン 監督、2008年、113分、香港、中国 「中国・清朝末期。太平天国の..
Weblog: soramove
Tracked: 2009-05-30 17:14

ウォーロード/男たちの誓い
Excerpt: 我ら天に誓う 共に生きんとするより、共に死なんとす 原題 THE WARLORDS/投名状 製作年度 2008年 製作国・地域 中国/香港 上映時間 113分 監督 ピーター・チャン 音楽 ピータ..
Weblog: to Heart
Tracked: 2009-06-06 22:30

「ウォーロード/男たちの誓い」
Excerpt: 試写会で 観てきました。「ウォーロード/男たちの誓い」公式サイトジェット・リー、アンディ・ラウ、金城武の歴史アクション・ドラマ。清朝末期、太平天国の乱での実話を基にしてるそうで。金城めあてで観にいった..
Weblog: かいコ。の気ままに生活
Tracked: 2009-06-09 16:05

ウォーロード/男たちの誓い
Excerpt: 清朝末期、太平天国の乱が起こる中国で義兄弟の契りを結んだ三人の男達の 友情と裏切りと悲劇を描いた歴史ドラマ。時は19世紀末、アヘン戦争で疲弊した清朝の圧政の下、「滅満興漢」を スローガンに太平天国..
Weblog: だらだら無気力ブログ
Tracked: 2009-06-10 01:24

ウォーロード/男たちの誓い
Excerpt: 5月25日(月) 19:25〜 TOHOシネマズ川崎プレミアスクリーン 料金:0円(シネマイレージカード ポイント使用) パンフレット:500円(買っていない) 『ウォーロード/男たちの誓い』公式サ..
Weblog: ダイターンクラッシュ!!
Tracked: 2009-06-10 22:37

「ウォーロード/男たちの誓い」
Excerpt: 「ウォーロード/男たちの誓い」TOHOシネマズ六本木ヒルズで鑑賞 投名状、待ちに待った公開です。 香港(中国?)の公開から待つこと1年半。 去年の今頃、韓国ではもう上映してたんです。 そし..
Weblog: てんびんthe LIFE
Tracked: 2009-06-11 15:05

レビュー:ウォーロード 男たちの誓い
Excerpt: [19世紀中国戦争物][人間ドラマ][史実物][アクション][実写][洋画(香港、中国)][スコープ][PG12] 飛び飛び度:★★★☆☆ 終わりよければ全てよし度:★★★★☆ ..
Weblog: シネコンバイトまりっぺの映画レビュー日記
Tracked: 2009-06-13 12:06

映画『ウォー・ロード/男たちの誓い』劇場鑑賞
Excerpt:  久しぶりに映画館まで足を運び、香港/中国映画『ウォー・ロード/男たちの誓い(原題:投名状)』を観て来ました。  私はアジア映画て苦...
Weblog: 続・蛇足帳〜blogばん〜
Tracked: 2009-06-18 23:47

ウォーロード/男たちの誓い
Excerpt: アジア3大スターの競演  私のお目当ては金城すゎ〜ん【story】19世紀の中国。太平軍との戦いで1,600人の兵士を失った清の将軍、パン(ジェット・リー)。街に出たパンは盗賊のリーダーのアルフ(アン..
Weblog: ★YUKAの気ままな有閑日記★
Tracked: 2009-06-21 17:04

ウォーロード/男たちの誓い
Excerpt: 『ドラゴン・キングダム』のジェット・リー、『墨攻』のアンディ・ラウ、『レッド・クリフ』の金城武とアジアの誇る豪華俳優陣が揃ったこの作品、この3人を聞いただけで鑑賞確定だったりします。監督はアンジェリ..
Weblog: LOVE Cinemas 調布
Tracked: 2009-06-22 00:16

映画 【ウォーロード / 男たちの誓い】
Excerpt: 映画館にて「ウォーロード / 男たちの誓い」 香港や台湾の映画賞を総なめにした歴史アクション・ドラマ。ピーター・チャン監督作品。 おはなし:19世紀の中国。太平軍に敗れ一人生き残った清のパン将軍(..
Weblog: ミチの雑記帳
Tracked: 2009-06-25 09:57

ウォーロード 男たちの誓い
Excerpt: こういう非業の役が、似合うとわ!!・・・アンディさま。
Weblog: 迷宮映画館
Tracked: 2009-07-14 08:35

「ウォーロード/男たちの誓い」
Excerpt: 最近は「〜特集」とかはやらず、ひたすらアットランダムに映画を見てるので、 今回は中国の戦争もの。
Weblog: ★☆ひらりん的映画ブログ☆★
Tracked: 2010-01-12 01:48