2008年11月06日

女神とクリームソーダ。〜「イエスタデイズ」〜

イエスタデイズ01.jpg

コレは完全にチラシにつられて行った映画。
予告を見たわけでもなく、原作読んだわけでもなく、
別段塚本高史に思い入れがあったわけでもなく。(笑)
こういうケースでミニシアター系を見るのは初めてじゃないかな。

國村隼さん、「パコと魔法の絵本」じゃ
スンゴイメイクにスンゴイキャラでしたからね。
コチラが本家本元、渋かったです。
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「イエスタデイズ」は本多孝好の
「FINE DAYS」に収録されている短編で
10分もあれば読めるんちゃうかというお話。
それを二時間近い映画として作るにあたって
当然肉付けされるわけで作者はそれをかなり懸念してたようですが
むしろ、本編では描かれない行間というか、
読み手が想像で膨らませるであろう部分を
これもひとつの例として、
かなり具体的に、しかもいい形で補足した作品と
うけとりました。

クリームソーダひとつで今も変わらない思いを
絵にできるってのはいいなぁ・・・


イエスタデイズ03.JPG

余命わずかになった父から、32年前に別れた恋人の行方を
探すように頼まれた息子が
唯一の手がかりである、スケッチブックを手に
その場所へ行くと・・・。

なんていうか、「鼻血の出ないバタフライエフェクト」(コラ)
プラス「地下鉄に乗って」な映画やと思ってください。(え)
ただし、歴史は全く変わらない。

これはタイムトラベルじゃなくて
スケッチブックにこめられた父の思いがなせる技の
「奇跡の物語」・・・なのだそうです。

都合いい話な気もしますけど(コラ)

スケッチブックに描かれた場所で
聡史が見たものは、
自分と同じ年の、若き日の父の姿とその恋人。
22歳という分岐点にたって
人生においてある決断を迫られたとき
傍観者である聡史は、二人がどういういきさつで
別れてしまったのかを追体験しながら、
誤解していた父親像を修復し、
なおかつ、自分の生き方の方向性もみつけていくという
お話でございます。

何度かそうやって、昔の彼らに会ううちに
どんどん仲良くなっていくんですが、
何もしてやれない聡史はどこまでも子どもです。
正しいんだろうけど、そううまくいくわけないんだよと
相手を愛しているからこその、
二人が出した答えなのに、
納得いかなくてそらもうブーイングしまくり。
途中まで若き日の父と親友みたくなってただけに
その結末に関して「やっぱ親父サイテー」っていう
反動はすさまじかった。

さらに本来なら、たとえ昔の話であっても
オンナとしてつらい話なのに、
聡史のお母さんもこの女性のことを覚えていて
自分をぬかみそくさいけど夫婦として生きていく相手に
自分を選んでくれたこと、それも愛だと諭す。
彼女はね、女神だったのよと。
く〜〜〜、人間できてます。すごいわ。
別れた彼女にしても、現在の妻にしても
事情はどうあれ、彼を、夫を理解している。
だもんだから、聡史がどこまでも子ども子どもにみえて
しょうがなかったですが。

で、そのお母さんの話でもって、
いったんは、やっぱり親父サイテーと思っていた聡史が
軌道修正して
親父、俺のこともっともっとずっと見ててくれよって
急展開で変わっちゃうわけです。

イエスタデイズ02.JPG

何より、ドラマ「ハチミツとクローバー」で
山田役をやっていた、原田夏希がかなり魅力的に
そこにうつっていました。
posted by Ageha at 18:48| 大阪 ☁| Comment(6) | TrackBack(11) | 映画、DVD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは。

クリームソーダ、懐かしかったです。
小学校の頃、友人のお母さんが
デパートにみんなを連れて行ってくれて
初めてそこで飲みました。
緑色だったからメロン味だったのでしょう。
衝撃でした(笑)。
Posted by えい at 2008年11月08日 00:46
えいさん、どうも。
ムショウにクリームソーダが飲みたく(違)
でも、あのアイテムは妙に印象に残りました。

好きな人の好きなものを好きになる
・・なにやら「ただ、君を愛してる」にも
似たような心境ですか。

う〜〜ん、うちとこは
ダンナのキライなものが片っ端から好きで(!)
・・ということでワタシの好物は
ダンナが東京へ行っちゃった今
堂々と夕食に(違)

聡史の恋はソーダの泡のごとく消えた・・かな。
とてもとても切ない、淡い想いを残して。

アイテムでもって思い出す誰かっていますよね。
取り戻したいわけじゃないけど、
ちょっとセンチメンタルになるときがあります。
秋ですので。(ガラじゃないって言わないで〜〜〜)
Posted by Ageha at 2008年11月08日 18:32
こんばんは♪
TB&コメント、ありがとうございました(^^)

この映画は聡史の青臭さが利いている作品でしたよね(^^;

彼の言う事は、
「自分の目に見える愛こそが全て!」みたいな
良い言い方をすれば純粋な感情論でしたが、
実は表面的な部分だけを見て
正義を振りかざしているだけの
「お子ちゃま」だったんですよね…。

人を理解するのは難しい事のようで、
案外簡単だったりもするという、
親子なのだから尚更の事なのかもしれませんが、
家族の絆の強さも感じさせられる作品でした。

夫を理解し、子供を諭す聡史のお母さんの姿は
素晴らしかったです。
Posted by テクテク at 2008年11月13日 00:02
テクテクさん、どうも。

親子は、理屈ぬきで分かり合える部分もあるけど
こじれると絆の分だけ余計に
他人よりややこしい・・・ともいえます。
親が亡くなる前に、何一つ優しい言葉を
かけてあげられなかった自分としては。
ありがとうもごめんなさいも言えなかった自分としては。

たとえ、余命いくばくで
すんごい自分勝手なお願いをしてきた親だとしても
しかもオチギリギリまで言いたい放題だったとしても
いろんなことが見えてくるにつれて
親ってやっぱりすごいと思える、
大きくて包み込む優しき存在だと実感する、
聡史は幸せもんだと思いますよ。

で、逆に人の子の親になった今の自分として
歩いてきた道を後悔することはないけど
果たして胸はって親でございと言えるのかというと
・・・ハハハハハ。
子どもが子ども産んで、
毎日子どもみたいなことばっか言うて
子どもと丁々発止してますんで。(!)

それはあとどれくらい続くかわからん
この先で何とか帳尻をあわそうと思ってます。(え)
Posted by Ageha at 2008年11月18日 18:28
こんばんは。
ちょっと二日酔い気分でしたので、人の少ないスクリーンでゆっくりしようと思い、
フラーと観た映画です。

とてもリラックスできました。
光りや影の扱いがとても柔らかく、
物語の展開も押し付けがましさがなく。

女性の感覚が溢れているなと思って、
家でHPみると、やっぱり脚本が女性でした。
「女性をとっても大事にしている」
登場する女性達はみなそれぞれに自立している感じです。
それに比べ、男達は何とだらしなく子どもなんでしょうか。
つい笑いながらも、ふんわかと観てしまいました。

Posted by keyakiya at 2008年11月19日 20:59
keyakiyaさん、どうも。

地味なんだけど、なんかいい。
うまく表現できないんですが、この映画のもつ雰囲気が
結構スキです。

女性たちに比べ、男たちは・・って
すごく同感。(笑)

男のひとって彼女を奥さんを
守ってるようで実はずいぶんと精神的に支えられている。
お父さんを見直すきっかけにもなったけど、
聡史は、理想の女性もここでみつけた。

お父さんと同じように22歳の選択をしたわけですが
未来の自分の進む道を見つけた・・・とともに

こんな恋がしたい、こんな風に愛したい、
そういう気持ちを教えてくれたのは澪さんだったりして。

親のやっかいな頼みごとが実は
自分にとってどれだけ貴重な体験になったか・・・
という、ええ話でした。(笑)
Posted by Ageha at 2008年11月21日 17:07
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