大概のひとはドラマ「ガリレオ」のスペシャル版
THE MOVIEのつもりで行ってる・・のかな?
としたら、
あの葵の印籠みたいなシーン(爆)はないので
あしからず。
ドラマの持っていた、軽さとか派手さよりも
原作に近いつくりになってたんじゃないですかね?
容疑者Xの献身 (文春文庫 ひ 13-7) | |
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今回は原作をちゃんと先に読んでいるため
「堤さんが”ダルマの石神”ってかっこよすぎない?」
ってのは、私だけじゃなくまわりで
原作読破したひとがみな言うてましたけど
実際見終わってみれば、
ここまで石神役を作りこんだ彼に拍手。
迫真の演技でございました。
逆に柴咲コウはいらなかったんじゃないか?(わわわ)
草薙さんが内海と湯川、石神と湯川を
つなぐ役回りとして演じるフツーさのほうが
よっぽど際立ってた気がします。
もともと内海刑事はドラマ制作にあたって
加えられたキャラなので(今はガリレオシリーズに
ちゃんと登場してるらしいが)
今回は草薙さんが出てきたことで
影薄かったな〜と・・・。
(10月4日の公開にあわせて、
テレビで放送してたスペシャルドラマ
「ガリレオエピソードゼロ」は映画とリンクしてて
ちゃんと石神さんまで登場させてました。
ドラマのラストと映画の冒頭がつながってましたんで
5日以降映画を見たひとは特に
ニヤリとしたんじゃないですか?(笑)
三浦春馬くんにヤング湯川をやらせて
数式を書くシーンが二回。
”実に面白い”ドラマでしたよ。)
そっちでもって娯楽性を高めて
ドラマならではの盛り上がりをつくっておいて
映画は別のアプローチになってます。
犯人が誰なのかは見てるひとにははじめからわかっていて
そのトリックを物理学を使って暴くというのが
ガリレオシリーズの特徴だったんですが
今回は湯川本人にも
はじめから犯人がわかってる、
石神の心の動きまでも察知してる。
それでも、石神がそこまでする理由が
さっぱりわからない。
・・・そして認めたくない。
湯川をして、
あいつに限ってそんなバカな・・・っていう
結構フツーのひとがもつ感情をちらちら見せつつ
変人ガリレオでない、湯川の素の部分を描く
謎解きというよりは湯川の内面を暴く外伝、
ミステリーというよりは恋愛映画で
人間ドラマな作品だったかと思います。
湯川のキャラを壊さずに
気持ちが揺れるシーンを演じるというのは
難しかったんじゃないですか?
福山さんがんばってましたね♪
雪山のシーンは原作にはありません。
同じ頂上(答え)を目指していくにも
数学者と物理学者はアプローチが違うんだと
言うせりふを先に言わせておいて
ココにつなげたなというのはアリアリでしたけどね。
石神は湯川が登場した段階でもう
臨戦態勢に入ってる。
湯川が事件の真相をつかんでしまったこともわかってる。
殺人を犯すつもりはないのだろうけど
何をしでかすかわからない石神というキャラを
堤さんが作りこんだぶんだけ
コチラでみててハラハラするようなシーンに
なったかと思います。
「博士の愛した数式」でも寺尾聡演じる博士が
答えを出すことよりも答えを導き出す過程が
「美しい」か「美しくない」かということにこだわってた。
仮説を立てて実証して答えに到達することを
「実に面白い」と感じる湯川と
すでに答えの出ている四色問題を
そういう解き方は美しくないんだと
自分の証明方法を確立しようとする石神。
ぜんぜん違う場所に立っていながら
こういうひとらだけにしか通じない、
共通言語みたいなのがココには存在して、
だからこそ湯川は相手を天才とみとめ
さらには友人だとも言う。
分かり合える数少ない相手の
その才能を尊敬しているからこそ
今回の事件の顛末は湯川にとっても
心の苦痛にゆがむ顔を人前にさらすほど
悲しい事件だったわけで。
誰も幸せになれない結末。
でもだからといって正義をゆがめるわけにもいかない。
見てるこっちもとてもとても
つらい気分でした・・・。
「相棒」の右京さんがいたら
「あなたのやり方は間違っています」って
言うんだろうな。(コラコラ)
数学しか興味のなかった人間に芽生えたものは
決して愛を告白するとかそういうもんじゃなく
単純にそこにいてくれたらいい、
そういう存在の、その笑顔や幸せをただ
守りたかっただけ。
おそらくあのまま完全犯罪が成立したとしても
彼はあの部屋からあの親子の前から
姿を消すんじゃないかな。
そう思えただけに、
警察だけじゃなく彼女にまでも
ストーカーまがいな人だと思わせるほどに
自分を陥れてまでも救おうとしたその気持ちが
やり方はともかく
あまりに純粋で激しく強くて
痛々しかったです。
ここまで誰かを愛せますか?
私は「刑期を終えて二人は結ばれるかな?」
嫁は「絶対にそれはない」
男は(ってか私は?)やっぱ打算的なんだろうか(爆)
もちろん石神には打算はなく、見事「献身」を貫くことで、一生彼女の気持ちを彼への思い(これってすごく負の思いなんだけど)で埋めさせたかったのかもしれません。
彼女が自首することで彼女は石神の呪縛から逃れられるのかもしれません。
「ガリレオ」の同じスタッフ・キャストで「ガリレオ」とはまったく正反対のこのドラマ・・・直木賞受賞もめちゃ納得しました。
で、私はまた原作読み直しては
「うーん・・・ここで湯川はコウ感じてるのか?」なんて、彼の天才を再確認しています(爆)
美しいとか美しくないとか、解るような気はしますが、「犯罪も美学」みたいな何かが微妙に感じられ、愛情をすり変えてしまった石神がだた残念でした。
この感想は、役者ではなく、堤さんを石神として観たからの感想で、それだけ堤さんが見事だったということでもあります(^^)
>”ダルマの石神”
この言葉、
他の方のところでもよく見かけます。
ぼくは原作は未読なのですが、
その言葉、
彼、石神の風貌を見事に表していますよね。
そんな先入観を打破するキャスティングと
そして演技アプローチ。
これは、まさに堤真一を観る映画ですね。
同じスタッフ・キャストで
つくったとは思えない作品でしたね。
ドラマのあの雰囲気を見たくて来たひとは
どうだったかわかりませんが
少なくとも原作を読んだひとにも
違和感がなかったってことは
いい出来だったんじゃないですか?
堤さん、わざとらしかった?
気持ち悪さと
外見の老けようをデフォルメはしてたけど
それもまた湯川との対比でもって
計算された演技ちゃいますか?
せっかくの頭のよさをこんなことに
使うなんてといいつつ、
石神の不器用さもゆるぎない愛情も
実は湯川は理解できたからこその
苦悩だったわけで
実験で謎を解くのとは違う難問に
直面したガリレオがどうするのか
ガリレオシリーズでありながら
異色で大作のこの作品を
ここまで映像化できて
ちょっと感動もんでした。
にしても、今回は完全に
堤さんにもってかれたかな?
最初キャスティングを聞いたときは
あまりのイメージの違いに
びっくりしたんですが、
ふ〜ん、ここまで作りこむんだ。
さすが堤さんだなって思いました。
こんな人かもしれないと思うほどに。
原作で思い浮かべた人物像を
払拭されてしまいました。
TBありがとうございます。
こちらからのTBはseesaaには反映されないので、
こちらに。
ドラマは全く観ていなかったのですが、
この作品は非常に面白かったです。
やっぱり石神という男が際立っていましたね。
湯川・福山もそんなに悪くなかったです。
ただドラマを観ていないので、今回の苦悩のギャップが
分からなかったのが残念です。
柴咲コウは必要ないぐらいの役柄でしたね。
http://cinechan.at.webry.info/200810/article_11.html
ドラマはとにかく実験でもってトリックを暴く番組で
ドラマクライマックスでいきなりどこにでも
数式をブワ〜ッと書いて
古畑任三郎みたくポーズをとる。(爆)
今回それなし。(笑)
あれは、あくまでもテレビサイズで
徹底してエンターティメントにしちゃった結果。
でもそのおかげで変人ガリレオは
かなり面白く見れた・・・はず。
もともと若いときの佐野史郎さんがガリレオのモデルなので
・・・福山さんを抜擢した段階で
かなりさわやかクールに変更されてるし。(笑)
で、それをふまえて映画にしたときに
こんどはおちゃらけを一切排除した
「恋愛もの」にした。
ガリレオが苦手分野にどう対処するのかって。
他のガリレオ作品と異なり、
実験もなく、かなり早い段階で犯人がわれていて、
でもどうしてもその動機や犯人の想いが
理解できずに苦しむというお話だったと。
そもそも容疑者Xはミステリーじゃないって
直木賞受賞のころ散々論議された作品。
今回は草薙さんが出ていたので
ホント柴咲さんの立場なかった気がします。