値札のついた命。〜｢闇の子供たち」〜

闇の子供たち (幻冬舎文庫)
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コレ、ひどすぎる。
罪を犯して裁かれるときでさえ、
人が人を殺してもいいのかって悩むのに。
タイの貧しい子供たちの現状はそんなものじゃなくて。



マフィアが仕切っている売春宿に
売り飛ばされたあと、
児童性愛者のおもちゃにされる。
お金だして遊ぶのは日本人も混じってる。

しかも、エイズに感染したら
ゴミ袋にいれて捨てられる。
信じられへん。

もしくは
生きたまま臓器を抜き取られてしまう。
それこそ捨てるところがないくらいに
誰かのために体のパーツをある日突然持ってかれる。
麻酔かけて殺してしまうなんて・・。医者がだよ！

現状を取材する新聞記者と、
人の目をみて話もできないようなカメラマンが
目の当たりにした現実は
目の前で殺されようとしてる子供を
助けられない。
ただ、見捨てるのではなく
｢見て、見たままを書く」ことで
一石を投じようとしてる。

NGOでやる気マンマンで乗り込んできた女性は
施設に来なくなった一人の少女がよこした手紙で
彼女が連れて行かれた売春宿をつきとめるも
エイズを発症して
ゴミ収集車に乗せられたところを
命がけで救い出すのが精一杯だった。
日本の子供の心臓移植が行われるのに
タイの少女がひとり殺されることを知って
止めに入ろうとするが
取材と称して新聞社の面々と乗り込んだ家で
抗議の言葉ばかりをつきつけてしまう。


あ、でも
自分が裕福な家庭で、
自分の子供が心臓移植しないと余命半年で
もし助けられるなら
親としてどんなひどいこともしそうな気もする。
代わりに誰かが犠牲になっても。
だから必死になってる母親の顔を
責めることはできなかった。
罰するべきはその弱みにつけこんで
子供を売り飛ばすシステムそのものにあって
最初はそんなこと、日本のその家族は
知らなかったはずなんだ・・。
そのむごい事実をつきつけられたとしても
自分の子供の命がカウントダウンの中で
じゃあやめますって言えるだろうか・・・。
むろん、それで自分の子供が助かったとしても
その子供は、またさらに深い心の闇をかかえて
生きることそれがつらくなるのだけれど・・・。

撮影に参加する子供たちの精神的ケアを
十分すること、
実際はこういう犯罪を撲滅しようとしている
タイ警察への名誉を守り配慮すること、
現地スタッフの十分な理解を得ること、
せめて子供の生き生きとした表情をちゃんと入れること、
たくさんの条件をクリアし、
心配りをして映画は作られたと聞くけれど
あとは見るこっち側の受け取り方次第かな。

原作にないラストシーンが付け加えられてます。
それもまた相当ショックでした。

江口さんが演じた男、南部が持つ真の闇を、
受け止めるには
まだ時間がかかりそうですが・・・。

現状はそんなに簡単に変えられない。
海の向こうの他人事ではなくて
日本人もまた加害者であることが相当ショックだった。


満員で立ち見の映画館を後にしながら
思ったことは

せめて「知ること」

私たちにできることを探さないと・・・。

Comments

こちらもお邪魔します。

僕もＴＢさせてもらったんですが、反映されてないみたいでスミマセン。ブログの調子が悪いんでしょうか。

この映画はかなり暗くて苦しい作品でした。でもそれと同じくらい深い作品で、胸に突き刺さりましたね。

ラストのオチは、僕はちょっと浮いている気がしたんですが、原作にはない話だったんですね。

Posted by えめきん at 2008年08月11日 17:47

えめきんさん、どうも。

いや、立ち読みパラパラなんですが（コラ）
小説は街頭演説の襲撃から逃れて
施設へ戻ってくるところまでて
終わってたはずです。
江口さんのシーンを加えたのは
日本人もまた加害者であること、
見たものに目を背けるなということを
強調したかったからではないでしょうか？

金で買われて連れて行かれるまえの
子供たちが川で遊んでるシーンも
それがごくフツーの日常で
それがとてもイキイキしてただけに
映画とのギャップがすごくて
ホント痛々しかったです・・・。
そんな何気ない幸せすらないんだなと。

Posted by Ageha at 2008年08月19日 16:45

ちょっと調べてみたら、原作でも南部の秘密については、示唆はされているみたいなんですけど、映画のように明確に言い切ってはいないみたいですね。
彼のキャラクターは、この映画を正義の側から悪を描くという単純な構図から外して、もう一段深めていると思います。
誰かを罰すれば解決する様なことだったら、どれだけマシでしょうか。
しかしこれも人間社会の一面なのですよねえ。

Posted by ノラネコ at 2008年08月19日 23:33

ノラネコさん、どうも。

＞誰かを罰すれば解決する様なことだったら、どれだけマシでしょうか。

ホントそう思います。
人の弱みにつけこんでるというか、
なんというか・・・。
｢需要｣があるってこと自体が
悲しいですね。
それに対しての供給源としての
子供たちの扱いがあまりにひどくて・・。

Posted by Ageha at 2008年08月27日 08:51